トゥルコアン(フランス北部)
地続きのヨーロッパ。国境が現在のものに定まったのは、長い歴史から見れば、比較的最近のことです。
ここフランス北部も同様で、今のベルギーやオランダ一部とは、中世から18世紀にかけ、「ブルゴーニュ領ネーデルランド」や「スペイン領ネーデルランド」という呼び名で、歴史の命運をともにしてきました。その影響は、今もこの地域の建築や文化に、根強く残っています。
2005年にユネスコ世界無形文化遺産に指定された「巨人の伝統」もその一つです。フランス北部やベルギーでは、それぞれ自分たちの「巨人(Géant:ジェアン)」を有する町や地域が多く、その数は300体に上ると言われています。
巨人たちは、普段は、市庁舎やそれに準じた場所に安置されていますが、祭りやイベントになると、担ぎ出されます。大きさはまちまちで、大人が一人で担げるものから、数人掛かりでようやく動かせるほどの重さのものまであります。巨人には、一体一体ちゃんと名前がついていて、土地の人たちが話しているのを聞くと、まるで町のスターについて語っているかのようです。巨人にもお嫁さんが来たり、子供が生まれたりと変化があり、メンバーが増えるときには、洗礼式を行うという念の入れようです。
カーニバルや、土地の祭りなど、町によって、それぞれ巨人たちの担ぎ出される日は決まっていますが、最近では、そういう祭りに近辺の巨人を招いたり、巨人たちを集めたパレード中心の祭りも企画されています。
例えば、フランスとベルギーの国境の町トゥルコアンでは、10年ほど前から、学校の冬休み(2月から3月にかけて)期間中に、「巨人の週末」イベントが開かれています。集まる巨人の数も増え、今では50-60体の巨人がフランス北部、ベルギーから集まります。
ファンファーレを鳴らすブラスバンドや、太鼓バンドなどを間に入れて、にぎやかに町の中を練り歩いたあとは、トゥルコアン市庁舎前の広場に集まった巨人たちが円になって踊り、見物客も一緒になって歌ったり踊ったり、声援を送ったりと、底抜けに明るいイベントです。
2017年も例年通りなら、トゥルコアン町中の聖クリストフ教会の周りには子供向けの移動遊園地や、屋台が並びます。15時過ぎから市庁舎前にパレードを終えた巨人が集まり始め、最高潮を迎えるのが、だいたい16時半過ぎです。お子さん連れは、少し早めに行って、町中の祭り気分を味わってから、巨人の集まる市庁舎前に移動すると良いでしょう。
投稿者:冠ゆき 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。 Twitter: https://twitter.com/KanmuriYuki Instagram: https://www.instagram.com/kanmuriyuki/ Facebook:https://www.facebook.com/KanmuriYuki
●開催データ | |
国名 | フランス |
都市名(地域名) | トゥルコアン |
イベント名(日本語) | 巨人の週末 |
イベント名(現地語) | Weekend Géant |
開催時期(前回開催) | 毎年2月末から3月頭の週末(前回2016年3月5~6日、2017年は3月4~5日) |
初回開催年 | 2006年ごろ |
来場者人数(規模感) | 約1万人 |
アクセス | リル(Lille)からトラム、地下鉄、バスで20~30分 |
主催団体(名称) | トゥルコアン市 |
公式ホームページ | トゥルコアン観光協会 http://www.tourcoing-tourisme.com/ |
料金 | 無料 |
予約 | 不要 |
知名度 | ★★★☆☆ |
おもしろ度 | ★★★★★ |
開催場所(主な会場) | トゥルコアン市庁舎住所: 10 Place Victor Hassebroucq, 59200 Tourcoing トゥルコアン、聖クリストフ教会住所:Parvis Saint Christophe, 59200 Tourcoing |