三浦按針の故郷で開催！「ウイル・アダムス・フェスティバル」

ジリンガム（イギリス）

ウイルアム・アダムスは、徳川家康の政権を助け、その功績が認められて、武士となったイギリス人である。このアダムスを記念するフェスティバルがアダムスの出身地であるジリンガムで開催される。
ジリンガム公園には、たくさんの様々な展示物や体験コーナーを備えたテントが並んでいる。賑やかな雰囲気の中で目立つのは、若者や子供連れの家族である。ゲームやアニメ、武術や音楽の体験コーナーで日本文化を学ぶことができると共に、チューダー朝で流行ったゲームも紹介されている。何と言っても、英国で日本文化をイギリス人が紹介していることが面白い。

テントの中にある茶室

最初に訪れたのは、日本の茶室を再現したテント。日本人でありながら、自国の文化を知らないことに恥ずかしさを覚えつつ、彼らの説明に耳を傾けた。畳の敷き詰められた小さな和室に茶道具が並ぶ。ノスタルジックでコミカルな雰囲気が漂う。

茶室の隣で目にしたのは、侍姿のイギリス人である。アダムスか？
熱心な日本文化研究家の彼は、剣道と柔道の心得もあると語る。
剣術や矢のお披露目コーナーや体験コーナーがあり、日本人でも十分に楽しめると感じた。

すると突然、バンバンと音が聞こえ出した。
何かと思いきゃ！そこで発見したのは和太鼓の演奏。日本太鼓協会か？
イギリス人と日本人による共同演奏は、物凄い迫力で会場が盛り上がった。
その後、和太鼓のレッスンが開始され、主人のダレンが参加。大人と子供を含めて20名前後のグループ・レッスンが開始された。
30分のレッスンで、仕上げは発表会で締めくくる。参加者は、気楽な気分で参加したものの、発表会となると緊張した模様。
旅の思い出にイギリス人と一緒の和太鼓演奏はどうだろうか。

日本文化体験のできるテントが公園の所々に見つけることができる。囲碁や将棋、習字や折り紙、アニメを学ぶことができる。特に習字コーナーは、列ができるほどの人気。イギリス人は、自分の名前を漢字化し、それを墨と筆で書くということにとても興味があるらしい。

昼になり、お腹が空き始める。遠くに小さなトラックが止まり、そこからたくさんのボックスを運ぶスタッフが見える。新しいアトラクションかと思うと、いや、日本食だった。しばらくして、日本人にはお馴染みの寿司、焼きそば、漬物、日本風ポテトサラダ、焼き鳥、カレーライスがカウンターに並んだ。椅子やテーブルも設置され、小さな日本レストランが完成した。
日本食と謳いながら、本物の日本食をサービスできないレストランが多い中、この店は違った。懐かしい日本の味がした。

この他に、指圧コーナーや鎧の展示コーナーなどがあり、誰もが楽しめるフェスティバルであると感じた。

[ウイリアム・アダムスについて]
 ウイリアム・アダムスは、日本では三浦按針として知られている。アダムスは、イングランド南東部のケント州ジリンガムで生まれた。アダムスはロンドンで船大工の棟梁に弟子入りし、造船術を学ぶ。その後、航海術を学び、航海士として航海をするが、極東を目指して出発したリーフデ号で悲惨な航海を経験する。1600年に黒島に漂流したアダムスは、執拗に処刑を要求する在住宣教師らに命を脅かせられるが、徳川家康により釈放される。アダムスは家康の元で外交交渉の通訳や助言をすると共に、数学や航海術を家康の側近達に伝授したと言われる。
 また、得意の造船術を生かして船を造船したことも有名。家康は、アダムスの功績を評価し、250石取りの旗本の位と帯刀を授けるとともに、三浦按針との名前を与えた。武士となったアダムスだが、家康の死後、鎖国体制によりアダムスは不遇となる。帰国することなく、1620年にアダムスは55歳の若さで他界する。

投稿者：ラッド順子

イギリス在住のライター。英国の大学院終了後、翻訳、通訳、語学教育に従事。ビジネス英語、イギリス文化やイギリス料理、日本文化等の面白くて役に立つ情報を多数執筆！英国サッカーと海外番組の「The X Files」が大好き。
Twitter：https://twitter.com/JunkoLadd
Facebook：https://www.facebook.com/jladdwriter