モハーチ(ハンガリー)
冬の終わりが近づく頃、ハンガリー南部の町モハーチで、ある奇祭が始まります。その名は、「ブショーヤーラーシュ」。いつも静かな町は、この時期、その姿が一変します。まるで日本のなまはげのような『ブショー』たちが、騒がしく大行進してやってくるのです。この奇妙で不気味なフェスティバルを見るために、国内外から多くの見物客が訪れます。面白いだけではなく、ユネスコ無形文化遺産登録の同国を代表する伝統祭でもあります。
動画:祭りの様子
祭りの起源は、何百年も前のオスマン帝国時代に遡ります。ハンガリー各地では、オスマン=トルコとの様々な戦いが起こっていました。人々は、この進軍を何とかして撃退しなければ…と知恵を絞ったそうです。
そこで、誕生したのが『ブショー』だったと言われています。
町の人たちは、羊の毛をみにまとい、恐ろしい顔をした木彫り面をつけ、怪物のような風貌に変身。兵士たちが怖がって逃げていくように仕向けたのです。
今では、軍人ではなく、冬を追い払い、長く寒い季節の終わりを祝う祭事となりました。
開催期間中、ブショーに変装した町人は、騒がしく街を練り歩きます。中でも、敵を威嚇するために使われていたケレプルーは、その荒々しい音が独特です。
おどろおどろしいブショーの横には、民族衣装に魅惑的なマスクをつけた女性たちの姿が。彼らは女の人がお好きなようで、見物している女性たちのところにもやってきてハグをしたり、いたずらをします。これも今では風物詩。町のあちこちから女の子の笑い声が聞こえてきます。
歓声やケレプルーの音、音楽にダンスとモハーチはお祭り騒ぎ。屋台も立ち並び、とても楽しい雰囲気です!!しかし、人混みに紛れて悪さをする人たちもいるようです。安全な町なのですが、この時はスリに十分ご注意ください。
最終日は、最も盛り上がるフィナーレが待っています。ブショーたちが続々と町中心にあるセーチェニ広場へ集まってきます。そこには枝の山‼ 頂上には、藁人形のようなものが見えます。これは冬を擬人化したものだそうです。
日が暮れ始めると、祭りも最終章です。日没とともに、冬の終わりを祝う宴がスタート。薪と人形に火を放ち、大きな炎の光が広場を包み込みます。
燃え盛る火を取り囲み、舞うブショーたちは迫力満点!!ハンガリーの奇祭は、朝から夜まで思いっきり楽しめるフェスティバルです♪
投稿者:武田友里 ハンガリーの首都ブダペスト在住。当地の大学院でメディア学を専攻。現在は、紀行番組を始め、様々なジャンルの取材・撮影を手掛けるコーディネーターです。在住者の医療事情がわかる『ハンガリー暮らしの健康手帖』を運営・執筆中。 HP:http://health-note-hu.net/ ブログ:https://kinenbiphotour.wordpress.com/
●開催データ | |
国名 | ハンガリー |
都市名(地域名) | モハーチ Mohácsi |
イベント名(日本語) | ブショーヤーラーシュ |
イベント名(現地語) | Busójárás |
開催時期(前回開催) | 2月中旬~下旬6日間 2020年2月20日〜25日、 (前回開催)2019年2月28日~3月5日、2018年2月8日~13日 |
初回開催年 | 不明(最初の記述は18世紀の書物) |
来場者人数(規模感) | 祭りラスト2日間は8~10万人 |
アクセス | (首都ブダペストから)Népligetのバス停より直行バスで3時間~4時間程度(祭り期間中) ※ 最終日は、ブダペスト方面の道路が渋滞で混み合い、移動には大変時間がかかります。 |
主催団体(名称) | モハーチ市役所 等 |
公式ホームページ | http://www.mohacsibusojaras.hu/ |
料金 | 無し |
予約 | 不要 |
知名度 | ★★★★★ (日本ではあまり知られていませんが、世界的に有名な祭りです) |
おもしろ度 | ★★★★★ |
開催場所(主な会場) | モハーチ(中心部をはじめ、町全体がお祭りムード) |
開催場所(住所) | Mohács, Széchenyi tér モハーチ市内各所 *日にちによりプログラムが異なります。 |