ミュンヘン(ドイツ)
まだ夜も明けやらぬ薄暗い日曜日の早朝。夏とはいえまだ肌寒く、ほとんどの人が寝息を立てているこの時間に、ザワザワと群れる人々の姿があります。場所は英国庭園のチャイナタワーの下のビヤガーデン。前夜の夜遊びから一睡もせず直行してきた人、早起きして駆けつけてきた人、それぞれが持参したキャンドルに火を灯し朝食を広げて、すでにテーブルは満席状態です。そして6時。陽気なバイエルン音楽と共にコッハルバルの始まりです!
コッハルバルの歴史は19世紀に遡ります。当時、上流階級の家庭で雇われていた使用人達にとって、自由になる時間は仕事が始まる前の早朝のみでした。彼らは毎週日曜日の朝5時頃に英国庭園のチャイナタワーに集まり、皆でダンスを楽しんだ後、各自の仕事に戻って行ったのです。(Kocherlという言葉は「料理人」の縮小形を表すバイエルン方言ですが、女中や小間使いなど使用人一般を指したようです)けれども、1880年頃にに始まったと言われるこの使用人達の密かな楽しみは、1904年に「不道徳」という理由で禁止され、その後長い間忘れられていました。ミュンヘン市がこのユニークな伝統に再び目を付け、新しいイベントとして復活させたのが1989年のことです。
参加者は民族衣装で来る人たちが年々増えてきていますが、19世紀風の衣装で来る人も多く、ちょっとした仮装パーティーの趣もあります。衣装を観察するのも楽しいかもしれません。でも、せっかくこのイベントに遭遇する機会を得たのなら、ぜひダンスに挑戦してみましょう。曲目は伝統的なバイエルンのダンスばかりで、ワルツやポルカが中心ですが、簡単な振り付けが付いたダンスもいくつか登場します。でも心配ご無用。数年前から進行役を引き継いだカタリーナがステージの上で元気な声を張り上げながら、ダンスパートナーのマグヌスと一緒に振り付けを教えてくれます。小さなダンスフロアは人で溢れ返り、身動きもできないほど。つまづいたりパートナーの足を踏んだりしても、それもまた楽しい。怒ったりせず、笑いながら踊り続けましょう。
パーティーのお開きは10時です。仕事に戻らなくてもいい現代人にはまだたっぷり時間が残っています。そのままビヤガーデンに居座って飲み続けるもよし、英国庭園の小川に踊り疲れた足を浸すのもよし。長い夏の一日を楽しんで下さい。 因みに毎年コッハルバルと同じ日に、公園内の日本茶室付近でヤーパンフェスト(日本祭)が開かれます。興味があれば覗いてみて下さい。アニメファンのドイツ人がコスプレ姿でたくさん集まってきますよ。
投稿者:みるこ 1995年よりミュンヘン在住。バイエルンの文化や伝統にとても興味があります。
●開催データ | |
国名 | ドイツ |
都市名(地域名) | ミュンヘン市 |
イベント名(日本語) | コッハルバル |
イベント名(現地語) | Kocherlball |
開催時期(前回開催) | 毎年7月第3日曜、2017年は第4日曜の7月23日(日)*同日開催されていた日本祭は例年通り第3日曜の7月16日(日) |
初回開催年 | 1989年 |
来場者人数(規模感) | 1万人以上 |
アクセス | |
主催団体(名称) | Restaurant und Biergarten am Chinesischen Turm 及び ミュンヘン市文化事業部 |
公式ホームページ | www.muenchen.de |
料金 | 不要 |
予約 | 不要 |
知名度 | ★★★☆☆ |
おもしろ度 | ★★★★★ |
開催場所(主な会場) | 英国庭園内チャイナタワーのビヤガーデン Restaurant und Biergarten am Chinesischen Turm |
開催場所(住所) | Englischer Garten 3, 80538 München, Deutschland |