中国西部の田舎での「中秋節」 それは一家団欒の日

できあがり!

重慶(中国全土)

中秋節は中国の伝統的な祝日の一つで、満月の形が丸いことから言われるようになった「家族団らんの日」です。春節は親類との団らん、中秋節は身近な家族での団らんの日と区別されているようです。中秋節は旧暦の8月15日で今年(2017年)は新暦の10月4日でした。中秋とは新暦の9月から11月の秋の真ん中にあるということで中秋の由来になっています。地方によっては、「八月節」・「八月半」・「月節」・「月夕」・「団円節」などとも言われています。

動画:家族総出で協力し合ってこねている様子

中秋節には地域によって習慣が違いますが、日本でも知られるようになった月餅を食べることは全国的に変わらないようです。夜、家族揃って、月餅を食べながら、月を愛でることが中秋節の大きな楽しみです。
中秋節では、なぞなぞ遊び(夜、照明のある公園などで、なぞなぞの短冊を沢山吊し、回答できたら賞品をもらえる遊び)、ランタン遊び(夜、子供同士で灯籠を用いての遊び)などあり、中国の祝日の中でも特に行事が多いようです。私の日本の田舎での子供の頃の遊びを思い出してしまいます。

中国南部では月餅を食べる以外に、糯(もち)を食べる習慣もあります。家族揃って、丸い糯を作って食べることは、一家団らん、平安、吉祥に繋がります。一年の中で糯を食べるのは中秋節の時だけのようです。
伝統的な糯作りはとても手間暇がかかり、都市部では道具を揃えられないこともあって、スーパーで出来合いの糯を購入することが一般的になってきました。糯をどのように手作りするかは、現代の若者たちはもうほとんど知らないでしょう。このブログでは、日本の餅作りと少し違う、中国の田舎での糯手作りについて書きます。日本も中国も同じでしょうが、改めてご先祖様の知恵に感心してしまいます。

伝統的な糯作りは以下のような手順で行われています。

糯米を蒸す

糯米を蒸す

まず、竹網の籠に糯用の米を入れて、2時間程蒸します。

蒸した糯米を石臼に

蒸した糯米を石臼に

米が炊きあがったら、石臼に取り出し、専用のすりこぎ棒(杵)で米粒をすりつぶします。この時、力を入れて、冷めないうちに一気にすりつぶしてしまうことが肝要です。ここで時間を掛けると味が落ちてしまう為、最も重要な作業です。

石臼の糯米を専用杵で素早くこねる(1)

石臼の糯米を専用杵で素早くこねる(1)

石臼の糯米を専用杵で素早くこねる(2)

石臼の糯米を専用杵で素早くこねる(2)

この作業では家族全員の協力が必要で、この作業を通じて家族間のより強い一体感を育むそうです。今は日本では、正月に商店街や幼稚園などの餅つき大会などでしか見る事ができませんが、餅つきを周りの皆と一緒になって行う事に似ています。しかし、写真や動画を見て頂ければ分かるように、いかにも家族愛に満ちた様子を感じる事ができます。

家族総出で協力し合ってこねる(1)

家族総出で協力し合ってこねる(1)

家族総出で協力し合ってこねる(2)

家族総出で協力し合ってこねる(2)

この作業が終わると、底の広い竹編みのザルに米の粉を敷き詰め、手を水で濡らしながら、つき上がった餅米を適量取り、団子のように丸い形にしてザルの中に並べていきます。

こね上がった糯を入れるザルの準備

こね上がった糯を入れるザルの準備

糯を丸い形にする

糯を丸い形にする

できた糯を米粉のひかれたザルに入れる

できた糯を米粉のひかれたザルに入れる

並べた糯に米粉をまぶして出来上がりです。

できあがり!

できあがり!

食べるときは、熱い鍋で焼けば、美味しく食べられます。

鉄鍋で焼けば香ばしい香りで美味しそう

鉄鍋で焼けば香ばしい香りで美味しそう

現代の中国の発展スピードはとても速いため、効率的な道具がどんどん作られるようになり、このような先祖から受け継がれてきた伝統的な糯作りは、急速に無くなっているそうです。これは果たして喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのか、中国の人達にとっても複雑な心境のようです。

投稿者:ぼうらん
2004年より中国重慶市に在住。
仕事の合間に近隣を見て歩き、日本との違いなど興味深く感じています。記事は私以外に、重慶人の友人に情報を補足してもらったり、写真や動画を提供してもらって執筆しています。

●開催データ
国名 中国
都市名(地域名) 重慶市綦江区万盛経済開発区
イベント名(日本語) 中秋節
イベント名(現地語) 中秋节
開催時期(前回開催) 中国旧暦の8月15日(2017年は新暦10月4日)
来場者人数(規模感) 中国全土の各家庭
知名度 ★★★★☆
おもしろ度 ★☆☆☆☆
開催場所(主な会場) 各地