どこか懐かしい気分になる、バンコク下町のロイクラトン祭り

灯篭に火をつける

バンコクほか(タイ全土)

旧暦12月(現在の10月から11月)の満月の夜、タイの全土で「ロイクラトン」というお祭りが行われます。4月のソンクラーン祭り(水掛祭り)と並ぶ、タイで人気のお祭りです。

“ロイクラトン”とは“クラトン(灯篭)”を“ロイ(流す)”という意味だそうです。その起源は古く確かなことは不明ですが、かつて河川の水位がもっとも高くなる 旧暦12月の満月の日に人々が川岸に集まって水の女神コンカーへの祈りを捧げたことが始まりであると言われています。この時、バナナの葉で作った灯篭を河に流したという言い伝えから、現在でも紙やバナナの葉で作った灯篭にロウソクを立て、川や池などに流すという風習が継承されています。

動画:灯篭を流す人々

ロイクラトンのお祭りはタイの各地で行われますが、バンコク市内だけでも毎年多くの場所で灯篭流しのイベントが催されています。海外からの旅行者にはチャオプラヤ河岸で行われるイベントが人気のようです。花火の打ち上げがあるなど盛大なお祭りになっています。また、バンコク在住の日本人には日本人居住区の近くにあるベンジャシリ公園でのイベントが人気です。都会のビル群に囲まれた公園の池の水面に、灯篭の灯が美しく映えます。

寺へと続く道。露店が並ぶ。

寺へと続く道。露店が並ぶ。

さて、今回特に紹介したいと思うのがエカマイ通りの端の端、センセーブ運河沿いに立つお寺(ワット・パーシー)で行われるロイクラトン祭りです。都市開発の進むバンコクですが、この寺の周辺にはいまだにプレハブの小屋や古いアパートなどが建ち並んでいます。下町の雰囲気を色濃く残すこの場所に、年に一度だけとても多くの人々が集まります。それがロイクラトン祭りの一日なのです。

灯篭を売る店

灯篭を売る店

祭り当日の夜、大通りからお寺へと続く小道には多くの露店が並びます。運河へ流す灯篭を売る店、食べ物屋、おもちゃ屋、駄菓子屋等々。人混みもすさまじく、まるで東京下町の夏祭りのような雰囲気です。どこか懐かしさを感じてしまいました。

ド派手な寺院

ド派手な寺院

ワット・パーシーはバンコクの中でもとてもユニークなお寺です。寺の本殿にはネオンのライトがピカピカと光り輝いています。とてもお寺には見えません。しかし、建物内部では僧による読経が行われており、真剣にお祈りをする人々がいます。不思議な光景です。

祈る人々

祈る人々

寺のすぐ裏にはセンセーブ運河が流れており、ここへ灯篭を浮かべます。運河へ出る門の前には多くの人が灯篭のロウソクに火をつけて並んでいます。灯篭を流したあとは個々にお祈りをします。この時、少しだけ厳かな雰囲気になります。ここでもやはりタイの人々の信仰の深さのようなものを感じました。

灯篭を流す人々

灯篭を流す人々

ワット・パーシーのロイクラトン祭りでは外国人観光客の姿は殆ど見かけません。他所で行われているイベントと比べると華やかさもありません。そのかわり、ローカルの祭りの雰囲気をおもいきり楽しむことができます。これはこれで良いと思います。

投稿者:もじゃ
タイ在住7年目。タイ料理好き。屋台好き。酒好き。和食を全く必要としない、かなりタイ化した日本人(タイ語は全然話せないのですが)。街の路地裏を徘徊するのが趣味。基本的に単独行動派。現在、子育て奮闘中です。
●開催データ
国名 タイ
都市名(地域名) バンコク
イベント名(日本語表記) ロイクラトン祭り
イベント名(現地語表記または英文名) วันลอยกระทง(Loy Krathong)
開催時期 旧暦12月の満月の日の前後(年や都市、場所によって異なる)
初回開催年 不明
来場者人数(規模感) 不明
アクセス BTSエカマイ駅から車で約10分(道路状況による)、徒歩だと約30分
主催する団体(名称) なし
公式ホームページURL なし
料金 なし
予約 なし
知名度 ★★★★★
おもしろ度 ★★★★☆
開催場所(主な会場) チャオプラヤ河沿岸、ベンジャシリー公園、ルンピニー公園、ワット・パーシーなどバンコク市内多数(今回はワット・パーシーを紹介)
開催場所(住所) Khwaeng Khlong Tan Nuea, Khet Watthana, Krung Thep Maha Nakhon 10110