願いを叶えるなら8月30日!リマの守護聖女「サンタ・ロサ・デ・リマの日」

サント・ドミンゴ大聖堂内部の様子

リマ(ペルー)

カトリック教徒が多い南米ペルーで、とりわけ人々に愛されている聖人といえば「サンタ・ロサ・デ・リマ(リマの聖女ロサ)」でしょう。聖女ロサの本名はイサベル・フローレス・デ・オリバ、1586年4月30日にリマで生まれた実在の人物です。幼いころから「ロサ(バラ)」の名で呼ばれるほど美しかったという彼女は、とても熱心なカトリック信者でした。日々の祈りはもとより、少しでも神の苦しみを理解しようと自ら厳しい苦行を行ったと言われています。31歳という若さでこの世を去ったロサですが、その厚い信仰心と彼女が起こしたとされる奇跡の数々が認められ、1671年にアメリカ大陸初の聖人として列聖されました。毎年8月30日は、ペルーにおける「リマの聖女ロサの日」。リマ旧市街セントロ地区では、盛大なプロセシオン(聖行列)が行われます。

美しい聖女ロサの像。彼女の象徴であるバラの王冠をかぶっています

カトリック修道会の1つ、ドミニコ会に所属していたロサ。聖人となった彼女は、リマのセントロ地区にある「バシリカ・イ・コンベント・サント・ドミンゴ・デ・リマ(リマのサント・ドミンゴ大聖堂・修道院)」に奉られています。「サンタ・ロサ・デ・リマの日」前日の8月29日は、サント・ドミンゴ大聖堂に安置されている聖女ロサの聖御輿を、アルマス広場にあるカテドラルへと移動させる日。30日に比べ人出が少ないので、プロセシオンの様子をゆっくり見物したい人には29日がオススメです。

サント・ドミンゴ大聖堂内部の様子

聖女ロサはカトリックの聖人。なのでプロセシオンの先頭にはカトリックの総本山であるバチカンの国旗、併せてペルー国旗とペルー国家警察の旗が並び、その後ろにはアメリカ大陸各国の国旗がずらりと続きます。「バチカンとペルーの国旗は分かるとして、なぜペルー国家警察やほかの国の旗が並ぶの?」とお思いの方もいるでしょう。その答えは、聖女ロサを守護聖人に定めているからなんですよ。ペルーー共和国とリマ市、ペルー国家警察、ペルーの看護師、ペルー・カトリカ大学、ペルー・サンマルコス国立大学、アメリカ大陸、フィリピンetc. 聖女ロサを守護聖人と崇める国や団体は枚挙にいとまがありません。それほど聖女ロサは人気なんですね。

美しい聖女ロサの聖御輿がサント・ドミンゴ大聖堂から運び出されました

ドミニコ会を象徴するモノトーンの衣装に身を包み、バラの王冠を被った聖女ロサの像。左手には幼子イエス・キリストを抱きかかえています。慈愛に満ちた美しいお顔ですね。

真っ白なナース服の看護婦さんたちもプロセシオンに参加

たくさんの警察官が見守る中、しずしずと街を練り歩くプロセシオン

カテドラルに到着した聖女像

サント・ドミンゴ大聖堂からカテドラルまではわずか3ブロック(約300m)ですが、何度も休み休み進むため、到着までなんと1時間近くもかかりました。信者の皆さん、本当にお疲れ様です。

29日のプロセシオンはこれにて終了。8月30日は午前中にカテドラルでミサが執り行われ、正午から盛大なプロセシオンが始まります。アルマス広場の南側を通ってカマナ通り~サント・ドミンゴ大聖堂前~タクナ通りと続き、聖女ロサに縁のある教会を巡って、最後にサント・ドミンゴ大聖堂へ戻るというルート。なので、この美しい聖御輿を眺めるチャンスはたくさんありますよ。当日は交通規制が敷かれ、タクナ通りなど一部の道路は通行止めになります。また信者や見物人で街はあふれかえるので、スリなどの被害にあわないよう所持品の管理には十分気を付けてくださいね。

さて、そのタクナ通りにあるのが「サントゥアリオ・デ・サンタ・ロサ・デ・リマ(サンタ・ロサ・デ・リマ聖堂)」。教会左奥の敷地がロサ生誕の地で、現在はロサの生家や彼女が日々祈りを捧げたという小さな庵、そして有名な「奇跡の井戸」が保存されています。

バラの花を思わせる真っ赤な壁が印象的なリマのサンタ・ロサ・デ・リマ聖堂

ここで「奇跡の井戸」にまつわる話をご紹介しましょう。ある日ロサは、重い鎖を自分の身体に巻き付けるという厳しい修行を行うことにしました。安易に外してしまわないよう自ら鎖に錠をかけ、その鍵を井戸に投げ捨ててしまいます。苦しみに耐えかね神へ祈りを捧げたところ、錠がひとりでに壊れて鎖が外れたのだそう。その鍵を投げ捨てたとされる井戸はいつしか「奇跡の井戸」と呼ばれるようになり、今では多くの信者が一年を通じて願いを捧げにやってきます。最もにぎわう8月30日は、入場制限が行われるほどの人気ぶり。それほど霊験あらたかなんでしょうね。

「奇跡の井戸」に願いを託すリマの人々

それぞれの願いが叶いますように!

リマの聖女ロサ聖堂の周辺には手紙とボールペンを売る行商人がたくさんいるので、手ぶらで訪れても大丈夫です。あなたも奇跡の井戸に願いを託してみてはいかがでしょうか?

投稿者:原田慶子
ペルー・リマ在住フリーランスライター。ペルーの観光情報を中心に文化や歴史、グルメ、エコ、ペルーの習慣や日常などを様々な視点から紹介。『地球の歩き方』『今こんな旅がしてみたい』『トリコガイド』『世界のじゃがいも料理』などペルー編の取材協力多数。「Keikoharada.com」にてペルー情報発信中。
HP:http://www.keikoharada.com/
●開催データ
国名 ペルー
都市名(地域名) リマ
イベント名(日本語) サンタ・ロサ・デ・リマの日
イベント名(現地語) Día de Santa Rosa de Lima
開催時期(前回開催) 2018年8月30日(毎年開催)
初回開催年 不明
来場者人数(規模感) 数千人
アクセス リマ旧市街セントロ地区
主催団体(名称) Convento de Santo Domingo
公式ホームページ http://www.conventosantodomingo.pe/
料金 入場無料
予約 不要
知名度 ★★★★★
おもしろ度 ★★★☆☆
開催場所(主な会場) リマ旧市街セントロ地区
開催場所(住所) Jirón Camaná 170, Cercado de Lima Perú